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第二話「聖ニコラウスの告白」
今年は蝉との新しい出逢いはなかった 蝉男がコロンビアに発ってから、めるもは新しい蝉との出会いを待っていた。 ただの蝉では駄目である。 めるもの心と交信し、禅問答ならぬ蝉問答を繰り広げることが出来る特別な蝉でなくてはならない。もうすぐクリスマス。こんな寒い季節に蝉なんかいっこないかぁ… そのときだった。 めるもは目を疑った。 銀行でお金を振り込んだ帰り道、いつも通る銀杏並木通りでふと一本の木に呼ばれたような気がして近くに寄った。 「うそだ…」こんな真冬に…?変な感じがして木の幹をじっとみると一匹のヨレヨレの蝉がじっとめるもに視線を送っている 。 蝉「君、キムが死んだの知ってるかい?」 めるも「えっ、キム?キム・ギドク?」 蝉「いや…北の」 めるも「あっ、キム・ニッセイか!」 蝉「いや、息子だよ。しかもニッセイって…いつの時代の呼び方だよぉ」 めるも「(えっ、私いま蝉と喋ってる…?キムが死んだ…?)」 夏の終わりに笑いながらコロンビアに飛んで行った蝉もめっぽう変わってたけど、こんな冬のさなかに日本に生きてる蝉ってすごく変。 キムが死んだって、あたしどうしたらいいだろう、キムタクじゃないことは確からしいんだけど、 いったいこの先あたしは誰に何を聴いたらいいかわからなくなる、 テポドンのこととか、ふいに居なくなった人たちのこととか、なんかもうずっとカオス! ![]() そんな中で私は、季節外れの蝉と会話…のような事をしている。私はもう37歳になっていた。 もう蝉男と出会った頃の少女ではない。一人住まいの家賃を振り込んだ帰り道なのだ。 もうイッタイゼンタイなんなのか!?気づけばもう昭和ではなく平成だ。 達郎の「クリスマス・イヴ」が頭の中を巡り、深津絵里が出ていたJR東海のCMを思い出す。 もうあの頃には、戻れないし、目の前の蝉の言っていることは、出来の悪い時事漫談のようでよくわからない。 すると、蝉がこう言った。 「めるも、君が蝉と喋る時は、それは、なんちゅか、あれだ、いっつも昔の事を忘れかけてる時や」 めるも「えっ、何?昔の事…?えーと、それって、」 蝉「あの時の事やで、まだ、あれや、日本が好景気に浮かれとった…バブルの頃、あの頃の事やで」 今日は24日、クリスマスイヴだ。 めるもは、記憶を手繰り寄せる。 深津絵里が新幹線の到着を待つCMがブラウン管から流れていた頃、私がまだ中学生だった頃。あの頃…。 ふと見ると、電光掲示板が、今夜は氷点下36度の寒気が南下して北陸を中心に大雪を降らせると伝えていた。 つづく… ■めるもちゃん ■やちゃおう倶楽部 ※メンバーの新作情報は《ニュース》にUPされています。 近況は、やちゃおう倶楽部ツイッターで!
第一話「夏のよろめき」
わたしはじつは蝉が好きなんだな。 死にそうな蝉を指に巻くのが… 「ぼ、ぼかぁ、セミがす、好きなんだなぁ。」 蝉と私、これは神話ですなぁ。 指に巻き付いた蝉の最期の息をそっとひとしきり聴きいてから、ふたたび樹の幹に戻して、来年また会えるかなと尋ねると「さあ、もしかしたら」という目でみるのだった。 愛しす。 ![]() あまりにもその瞳を愛おしく感じたmelmochanは、一旦は木の幹に返した蝉を、もう一度指に巻き直すと、そのまま家に帰りました。 「お母さん、この蝉飼っていい?」 白いレースのブラウスの胸の上に蝉はしっかりとくっついて着いて来た。 「あら、新しいブローチ?」と聞く母に「蝉だよ」とメルモちゃんは言った。 「箱に入れて飼うからいいでしょ?」呆れた顔で笑う母。 それで、めるもちゃんは夏休みを丸々、蝉男と過ごしてしまった。 秋が来ました。 でも、全ての蝉が死に絶えても蝉男だけはなぜか死にません。 八日目の蝉どころか1ヶ月半目の蝉でした。余命一ヶ月の花嫁よりも長生きしてしまっています。 「あんたなぜ死なないの?夏をセミリタイアするのが蝉の本懐というもんでしょう?」 めるもちゃんが訊きました。 すると、蝉男はボロボロになった羽を震わせて答えました。 「めるも、ちょっと待って。さっきコロンビアの蝉からメールがきたんだ。あいつらピンチなんだ。このまま行ったらあいつらはアイスクリームにされちまうって」 めるもちゃんは「はぁ?セミアイスなんて聞いたことないよ。でもおいしいのかしら?」と笑いをこらえた。 「つかさー、セミオがメールしてたの知らなかった」 「セミタイプのメール機能がこのおしりの下にあるんです、ココ」とセミオはめるもちゃんにおしりの下にある赤いボタンを見せた。 「うわっ、最近のセミってすごいのね」とめるもちゃんは眩しそうに蝉男をみた。 つづく… ■めるもちゃん ■やちゃおう倶楽部 ※メンバーの新作情報は《ニュース》にUPされています。 近況は、やちゃおう倶楽部ツイッターで!
5月にCS-Labで行った公演「遊牧」で新たなメンバーらとの作品作りをスタートさせた“やちゃおう倶楽部”ですが、「遊牧」から次回公演「ウォークマン」へと歩を進めるために、4ヶ月間様々なワークショップを重ねて来ました。
そのワークショップの過程で製作した作品を中心に「ウォークマン」の製作プロセスを展示する試みとして、大倉山記念館ギャラリーにて10月12日(水)から16日(日)まで「ウォークマン展」を開催いたしました。 今回はその模様を、写真と共にドキュメントとしてお届け致します。 お越し頂けなかった皆様も、どうぞご覧下さい。 【参加アーティスト】 Pawcer=Exsen HIRA ソワ☆聖☆タロウ かしたく 古珍 かっちゃん ソドム 仲本はっぱ拡史 ごまだれ 岩本グロテス謙 よしだ塵めぐみ Pawcer=Exsen A 会場は以下の図のように回廊形式になっています。 左回りの順路順に作品を掲載します。ちなみに中庭では“やちゃおう倶楽部”がパフォーマンス公演「ウォークマン」の製作を常時行っていました。 ![]() 「ウォークマン展」ドキュメント
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